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【法人税対策】1年目の資本金を1000万円以下にすべき理由とは?

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(写真=PIXTA)
大企業から独立して会社を設立する人が増えている。クラウドファンディングやシェアオフィスの浸透で、そのハードルは以前よりも下がったとされている。しかし、起業の際に踏まなければならない手続きは昔も今も変わらない。「資本金をいくらにするか」ということも、考えなければならないことの一つだ。実は資本金が増えると、支払う税金が増えてしまう場合がある。しかし銀行や同業者やすすめなどで、意図せずに資本金が多額になってしまっている会社は意外と多いのが現状だ。資本金を適切に設定して、上手に節税できる会社にしよう。

適切な資本金の額とは

通称「新会社法」が2006年に施行されてからは、株式会社を設立する際の資本金はいくらでもいいことになった。極端な話、1円でも問題ないのだ。しかし「資本金1円」では銀行は融資をしてくれないだろうし、顧客は借金が多い会社とみなして信用しないだろう。現実的な額としては「数百万~1000万前後」ではないだろうか。

消費税の節税方法とは

資本金1000万円。この額を境に会社にとっては2つの課税状況が変わってくる。消費税と法人住民税だ。まずは消費税。新規に立ち上げられた法人は資本金1000万円未満に限り、設立以後の2事業年度の消費税が免税になる。法人の消費税の納税義務は基準期間の課税売上高が1000万円を超えているかどうかで決まる。基準期間とは、法人の場合は前々事業年度の課税売上高(前々事業年度が1年未満の場合は1年換算した金額)。すると、創業したばかりの会社は基準期間の課税売上高がないため消費税を納めなくていいことになるのだ。

しかしそれでは消費者から預かった税金が国に納められない「益税」が発生してしまうため、国はその防止策として「期首の資本金が1000万円以上の会社は納税義務が自動的に発生する」としている。これが「資本金1000万円未満の会社は、2年間消費税を納めなくていい」の背景だ。なお、この消費税免税制度は個人事業を法人化した場合も同様だ。税法上は個人事業と法人はまったく別物としてみられているため、法人化も「創業」と同じ扱いになるのだ。

法人税の節税方法とは

次に法人税について。一般的に「法人税」と呼ばれるものには、個人の「所得税」にあたる「法人税(法人所得税)」と「住民税」にあたる「法人住民税」に法人のみが対象の「法人事業税」がある。このうち資本金で変わってくるのが「法人住民税」だ。これは所得から算出された法人税額に住民税率をかけた「法人税割」に会社ごとに定額の「均等割」を足したもの。この「均等割」の部分が資本金1000万円を超えると高くなるのだ。住民税は赤字黒字にかかわらず納めなければいけないもので、「均等割」は所得の有無にかかわらず必ず課税されるものだ。

住民税の節税方法とは

住民税は市区町村によって異なるが、東京都23区では資本金1000万円以下の法人の均等割税金は年間7万円。これが1000万円を超える法人では18万円になる(いずれも従業員数50人以下の場合)。「1000万円超」なので、たとえ資本金が1001万円であっても、1000万円以下(未満ではない)と比べて均等割税金が年間約11万円も高くなってしまうのだ。さらにこの11万円は定額で、毎年支払うことになる。これはかなりのインパクトだろう。

もちろん、資本金は株主や取引先、金融機関等にも影響を及ぼすため、何が何でも下げるべきというものではない。減資をするには株主総会の特別決議や債権者への公告等も必要だ。「1111万円」のようにゲンを担いで社員のモチベーションアップにつなげるというのも立派な理由だ。それでも、特に支障がなければ資本金を1000万円未満にすることをおすすめする。創業期は何かとお金がかかる時期。節税の効果は小さくないだろう。