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資金調達を望む経営者へ エンジェル税制活用法

(写真=Thinkstock)
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エンジェル税制とはベンチャー企業への投資を促進するためにベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度のことだ。サービス業や小売業、IT企業などほぼすべての業種が制度の対象となることや、創業者・役員や従業員が自らの会社へ出資した場合および親族や友人の会社への出資にも有効であり、非常に使い勝手のよい制度だ。制度の適用には一定の要件があることや投資方法によって手続きが異なることなど、制度の利用にあたっては注意すべき点がいくつかある。

エンジェル税制を活用することでの投資家側・企業側のメリットや制度の適用の際の要件について、その概要をお伝えしていく。

エンジェル税制で資金調達

エンジェル税制は投資家側・企業側どちらにもメリットがある税制だが、特に企業側にとってのメリットが大きい。

事前確認制度に則り、企業が対象であるかどうかのチェックが行なわれるため、これをクリアした企業は制度の要件を満たしていることが事前に保証されていることから、投資家の信用が得やすい。

また、事前確認制度をクリアした企業に関しては経済産業省・経済産業局ホームページに掲載されるため、これがPR効果にもなる。実績も少なく、成長段階の企業では金融機関からの資金調達が難しく、投資家からの出資が重要となるが、エンジェル税制の対象企業であれば、それが投資家への説明材料となり、出資を集めるのには断然有利となる。

投資・売却時点でも優遇措置

個人投資家はエンジェル税制を活用することで投資時点・売却時点での2回にわたり優遇措置を享受できる。投資時点では投資した企業から必要書類を受け取ることで、確定申告の際の書類添付により税制の優遇措置が受けられ、売却時点では損失が出た際に、他の株式を売買して得た利益と相殺できる。

投資時点の優遇措置に関してはAもしくはBから選択できる。

優遇措置Aでは、「企業への投資金額-2,000円」がその年の総所得金額から控除される。控除対象の限度額は、「総所得金額×40%」もしくは「1,000万円」のいずれか低いほうとなっている。

優遇措置Bでは制度を利用した企業への投資額が、その年の他の株式譲渡益から控除されるが、こちらには上限は設けられていない。

制度を活用できる個人投資家の要件としては、「対象となる企業の株式を金銭で取得していること」があり、これは他人からの譲渡や現物出資による株式取得が対象にならないことを述べている。

さらに、投資先の企業が同族会社である場合には「持ち株割合の大きいものから第3位までの持株割合を順に加算し、その割合が初めて50%超になる時における株主グループに属していないこと」といった要件を満たさなければならない。

また、制度活用対象となるためには企業側にも要件が設けられており、優遇措置Aでは「創業3年未満の中小企業であること」、優遇措置Bでは「創業10年未満の中小企業であること」となっており、それぞれに対して設立経過年数ごとでの人員配分や研究費、営業キャッシュフローといった項目において詳細要件を満たす必要がある。

損失時でも対象

売却時点での優遇措置では、対象企業の株式を売却して損失が出た場合に他の株式売買による利益との相殺することができるが、損失がその年で相殺しきれなかった場合には、翌年以降3年は損失の繰り越しが可能となっている。

また、ベンチャー企業が上場できず破産した場合にも向こう3年間での繰り越し相殺が可能となる。このとき優遇措置AまたはBを適用していれば、優遇措置による控除額を差し引いた損失が対象となる。

エンジェル税制の内容およびメリットが理解いただけたのではないだろうか。特に中小企業側では同制度を活用することにより投資家からの出資が集めやすくなるため、対象企業となるかどうかを事前確認制度にて調べ、資金調達の手段として検討してみてはいかがだろう。