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舛添前都知事に学ぶ 出張ついでの贅沢三昧は危険

東京都知事を辞任した舛添氏。公私混同が指摘され、都知事としては前代未聞の引き際となった。税金を使っての、出張ついでの美術館視察は舛添氏の十八番だが、これを社長が経費でやってしまうと、税務調査で痛い目にあうことがある。「人の振り見て我が振り直せ」ではないが、オーナー社長が陥りがちな“公私混同”問題に迫った。

(写真=KaikeiZine)
(写真=KaikeiZine)

6月21日に東京都知事を辞職した舛添要一氏だが、その前日、都は舛添氏の海外出張全9回分の経費の詳細を都のホームページで公開した。総額はなんと、計2億4700万円で、このうち舛添氏の宿泊費は計343万円、航空運賃は計1232万円だった。

都によると、舛添氏の航空運賃の最高額は、ファーストクラスを使った2014年10、11月の英独出張で374万円。1泊当たりの宿泊費では、15年10、11月の英仏出張で、ロンドン滞在での約20万円が最も高かった。
今年4月12~18日の米国出張の経費は約3414万円で、ホームページ(http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIGAI/SHOUSAI/160412k.htm)では、航空運賃や宿泊料、車両借り上げ料、現地案内人料なども出張ごとに公開している。

このほか、舛添氏の出張の十八番といえば美術館視察。今年4月までの1年間になんと、都内美術館・博物館の視察だけでも計39回行っている。舛添氏は美術品鑑賞を趣味と公言しており、まさに役得をフル活用した公私混同の典型と言える。

さて、「人の振り見て我が振り直せ」ではないが、舛添氏の公私混同問題を教訓に、オーナー社長も自身の公私混同には気を付けたい。

「旅費規程」で税務署対策

公私混同でとくに注意したいのが、舛添氏もそうだったが役員の出張だ。海外となると、国内と違い時間が有れば観光もしたいと考える。ただ、この「出張ついでに観光」は、そのおカネの出所が会社となれば、税務署も経費として認めないこともある。

では、中小企業がこうした出張問題で税務署に指摘されないようにするにはどうしたらよいのだろうか。

大企業ならともかく、非上場の同族オーナー会社では、「旅費規程」を定めた就業規則などを作成しているところも少ない。ただ税務調査で、いらぬ指摘をされる前に、社内で「就業規定」を作成しておくことが、税務リスクの排除に繋がる。就業規則において、社長であれ、役員であれ、従業員であれ、それに基づき旅費を支給するのだ。

基本的に出張費は、その金額が「常識の範囲を逸脱していない限り、給与として所得税が課税されることはない。
「常識の範囲」の判断だが、「役員を含むすべての社員において、バランスの取れた基準で計算されているか」が重要になる。つまり、「旅費規程」そのものが適正であるかがまず問題になるのだ。

「旅費規定」において、出張先への距離や役職に合わせてどの程度の概算旅費を想定しているのか、ということが判断の基準となり「旅費規程」そのものが世間一般の相場からかけ離れていなければ問題ない。実際の作成に当たっては、社会保険労務士などのサポートを受けて作成することになるだろうが、覚えておきたいのは、同業種、同規模の企業が一般的に支給している金額と照らし合わせ、支給された概算旅費が適正であるか、この点も重要な判断基準となる。

上記内容を吟味し、この出張旅費が「常識の範囲内」として認められれば、役員給与と判断されず、所得税が課税されることはない。だが、舛添氏のように、出張に併せて観光を行い、その費用を会社が負担すると問題がないわけでもない。

税法の世界では、非課税として取り扱うことのできる出張旅費を「業務に必要なもの」に限定している。この「業務に必要なもの」として認められるのは、交通費や日当、宿泊費、往復の航空運賃、支度金などとされている。

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