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舛添前都知事に学ぶ 出張ついでの贅沢三昧は危険

出張にかこつけた観光はNG

一方で、税法の世界では「役員等に対して機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給したもののうち、その法人の業務のために使用したことが明らかでないもの」については、役員に対する「経済的な利益」の供与があったものとされ、役員給与とみなすことになっている。そのため、舛添氏のように、出張にあわせて観光ともなれば、会社から支払われた旅費を「業務に費やした期間」と「観光に費やした期間」との比率で按分し、観光部分にかかった費用については、役員給与として処理することになる。

ただ、旅行の目的があくまで取引先との商談など業務上のものであり、その仕事の一環として観光を行ったようなケースでは、取引先の所在地や業務を行う場所までの往復交通費に限り、その全額を損金処理することが可能としている。

なお、役員給与は、いわゆる「定期同額給与」「事前確定届出給与」「利益連動給与」のいずれかに該当しないと、損金算入できない。もし自社が、「定期同額給与」「事前確定届出給与」であれば、旅費はその給与範囲を外れてしまうため、原則損金算入できない。給与として所得税が課税された上、会社の経費として落とすこともできないのだから、ダブル損となるわけだ。

妻の同伴も経費で落とせるケース

また、出張ともなれば、妻や家族を同伴させて観光を楽しむケースは珍しくないが、

舛添氏のような、極めて家族旅行に近い出張を社長がやってしまったら、税務調査でほぼ調査官から指摘される。つまり、妻の旅費や観光費用を会社負担にしてしまったら、その役員に対する給与とみなされる可能性が極めて高くなってくる。

ただし、例外もあるので覚えておきたい。たとえば、役員が常になんらかの世話を必要とする身体障害者で、世話人として妻が付き添う場合や、国際会議などで妻の同伴が必要な場合、妻の持つ専門的な知識が業務に必要となるような場合(語学に堪能な妻が通訳として業務に立会う場合など)、妻の同伴が明らかにその旅行の目的達成に必要と認められるときは、出張に「通常必要な費用」となり、妻の観光費用を除いた金額を出張旅費として損金処理することができる。

ところで、舛添氏のように、海外出張のときの飛行機は、ファーストクラスでないとダメという社長もいるだろうが、この場合は、調査対策として有効なのが、前述した「旅費規程」だ。就業規則に「社長が海外出張する際には、飛行機はファーストクラスを利用する」という文面を旅費規程に明記しておけば、いざ税務調査が入ったとしても調査官と揉めることはまずないだろう。

また、出張先での業務内容を考え、宿泊先を設備の整ったホテルへグレードアップしたいと考えるのであれば、その旨を旅費規程の中で明らかにしておくことも事前対策となる。

 

宮口貴志 宮口貴志(みやぐちたかし)KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
http://zeimusoudan.biz/

(提供:KaikeiZine

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