Home » 経営戦略 » 他社を真似ても成果につながらないときの4つのチェックポイント

他社を真似ても成果につながらないときの4つのチェックポイント

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

真似れば成果が出るは幻想

後継者が、経営の重要なポジションに立った時、会社の改革に着手する必要性を感じることが多い。とはいえ、どこから手を付けていいかわからない、という問題に直面することがある。そんな時、他社の事例を参考にすることが多いのではないだろうか。既に成果を上げている他社の事例をそのまま真似てみれば、自社においても成果が上がるはずだと考えがちだ。

しかし、そんな思いをもって行った改革が上手く行かないことは予想以上に多い。結論から言えば、外から見える事をいくら真似をしても、同じ効果を期待することは難しい。目的が作業の効率化といった現場レベルの話であれば効果が見込めるものの、話が戦略レベルになるとそれは幻想になりがちだ。そもそも、外から見える事よりむしろ、その根本的な考え方に注目する必要がある。

仕組みを真似るなら全てを

私自身、痛い思いをしたことがある。当社において、経営理念の浸透を意図して様々な試みをスタートさせた。具体的には、経営理念の解説書を作成し、理念と現在の仕事がどうつながるかを周知するための説明会を開催した。そして、毎朝経営理念を唱和し、行動指針と合わせて日替わりで各員がスピーチする機会を作った。さらにその行動指針に沿った行動をとった社員を表彰する制度も作った。

これは、リッツカールトンホテルの「クレド」と呼ばれる、経営理念とその浸透の仕組をほぼそのまま取り入れたつもりだった。それを継続すること約5年。

結果、何が起こったと思われるだろうか。お恥ずかしい話だが、「何も変わらなかった」というのが顛末だ。

毎朝行われる、クレドを参考にした朝礼は、行事としては定着した。いつか社内が変わるだろう、と考え5年にわたって継続してみた。しかし、結果は、形骸化した行事だけが残り、社員は上の空。社員だけではない。経営者である私自身もルーチンワークとして流していたことは否定できない。

情熱を傾けるべき対象かを見極める

なぜ、5年もの無駄に見える時間を費やすことになったのだろうか。改めて考えてみた際、4つの理由が浮上してきた。

(1)効果が見えないことに対して、その方法を見直す機会を作らなかったこと。
(2)手本となる企業のすべての動作を真似しきれていなかったこと。
(3)目に見える仕組みの裏側にある考え方への理解が足りなかったこと。

1つ目は、効果が見えないことに対して、その方法を見直す機会を作らなかったこと。そして、2つ目、3つ目については、私自身反省せざるを得ない。実は、改めて資料を見返すと、リッツカールトンホテルは朝礼だけで理念の浸透を図れたわけではなかったのだ。ミーティングやクレドの見直しを定期的に行い、常に社員全員が意識する機会を多く作っていることに気付く。私はこれらを無意識に端折っていたといわざるを得ない。ミーティング嫌いの私は、やりたくないことをすっぽり見落としていたという状況だったといえるだろう。

そして、最後の理由は最も重要といえるだろう。

(4)行おうとする改革に対するリーダーの情熱が足りなかったこと。

もともと私は、精神論が好きではない。できる事なら、ロジカルに物事を動かしたいタイプの人間である。それゆえ、仕組みで会社を変えることができればベストだと考えていた。しかし、考えようによっては当たり前に感じられる事実も、仕組みにフォーカスしすぎると見失う事がある。他社の事例を真似することを否定するつもりはない。しかし、そこにあなたが相応の熱量を注入するに値する価値を感じているのだろうか。

その見極めが必要なのではないかと思う。

田村【筆者プロフィール】田村 薫

自らの二代目経営者という立場における経験を社会に還元すべく、情報発信を行う。ブログ・  ワークショップの開催などを通じて経済の発展に寄与する後継者サポーター。

■親と子の心をつなぐ事業承継  http://jigyo-shokei.com/

【編集部のオススメ記事】
・【日本人大富豪ランキング】 孫正義氏など大物を抑えての1位はあの人
・2016年上半期 大型M&Aランキング グローバル編
・倒産が頭をよぎるとき、社長が知っておくべき ポイント12
・なぜ、モスバーガーは愛され続けるのか?
・今の日本で「イノベーション」は生まれるか?