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後継者の「経営者の器」を満たすたった一つの資質

(写真=Thinkstock)
(写真=Thinkstock)

事業承継を行うにあたり、誰にバトンを渡すか?という議論がよくある。中小企業においては、一時と比べて少なくなったとはいえ、まだまだ親族から後継者を選出することが多いのが現状であろう。そこで問題になるのが、後継者候補が経営者の器を持っているか否か?話だ。

雰囲気で語られる「経営者の器」

「経営者の器」という言葉は、誰もがなんとなく理解できるにもかかわらず、具体的な定義がなされていない言葉の一つといえるだろう。定義が明確でない言葉を振りかざして、「彼は経営者の器ではない」なんていう無責任な会話がなされているのは、滑稽にさえ見えることもある。多くの場合、経営者の器というのは先天的なもの(青年期にまでには獲得するもの)として語られている印象が強いが、疑問符が見え隠れする。どうも、経営者の器という言葉は、ぼんやりした雰囲気で語られることが多く、明確な実態がないというのが現実なのではないだろうか。実体のないものに、創業者も後継者も振り回されているという現実があるような気がする。

では、経営者の器という言葉をどう解せばよいだろうか?ヒントとなりそうな言葉に、「経営者の資質」ということもよく議論されている。この言葉の示すところも、様々な説があり、必ずしも一定の結論が見えるものではないが、いくつかの例示を見つけることができる。

時代を読む能力
明るくて謙虚な性格
論理的思考
独創的な発想・着眼点
素早い行動力
素直
謙虚
明るい
などだ。

各人、各様の解釈があり、これもまた断定的な解釈は難しいようだ。

世の中の経営者は不完全だからこそ魅力的

しかし、ちょっと現実を振り返っていただきたい。そもそも、あなたの会社の創業者は、こういった資質をすべて備えているだろうか?少なくとも、私の知る経営者の中には、全てをバランスよく持っている社長はほとんどといない。乱暴に言ってしまえば、そんなものなくたって、普通に経営者は務まっているし、それぞれの経営者が自社を成長させている。確かに理想を言えば、全てを兼ね備える事ができればいいのかもしれないものの、こういった基準から考えると殆どの経営者は不完全だ。

むしろ、不完全だからこそ独特の魅力を放っているようにも思える。例えば、スティーブ・ジョブズは、製品開発への情熱は非常に強いものがあったようだ。しかし、お世辞にも謙虚とはいいがたい性格だったようだ。そういった偏りを持っていたからこそ、iPhoneといった画期的な製品を生み出し、多くのファンを引き付けているのではないだろうか。

販売会社の社長が、営業が苦手であってもいい。なぜなら、非効率な営業を改革するなら、営業が得意ではないほうが問題点を明確にできる可能性が高いからだ。それなりの組織を持つ社長が、人とのコミュニケーションが苦手でもいい。なぜなら、苦手だからこそ人に任せられるという部分もあるからだ。

後継者の未来の成果に必要な資質

ここで経営者の器の話に戻そう。よく使われている言葉に、「会社(組織)は、経営者(リーダー)の器以上に大きくなれない」というものがある。

では、会社や組織を成長させるには、何が必要なのだろうか。

それは前進する力であったり、今の状況に甘んじない心であったり、未来の会社をイメージする力であったりするものだ。
そういった発想や、力の源がどこにあるのか?と問われたとき、私はこう答える。

向上心を持っていることだ、と。
向上心があれば、欠けているものを補うアイデアを考えられる。
向上心があれば、不足する資質を活かす方法を考えられる。
向上心があれば、今の状況をよりよくする視点を持てる。

何が言いたいかといえば、生まれつき経営者の器を持っている人などいないし、それを持って経営につくというのも幻想に近い。よりよくすることを目指して努力できるか、出来ないかが後継者として必要なたった一つの資質ではないかと考えられはしまいか。

人の未来の可能性を、現時点の状況で判断することなど出来るはずもないのだから。

田村【筆者プロフィール】田村 薫

自らの二代目経営者という立場における経験を社会に還元すべく、情報発信を行う。ブログ・  ワークショップの開催などを通じて経済の発展に寄与する後継者サポーター。

■親と子の心をつなぐ事業承継  http://jigyo-shokei.com/

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