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2016年度「コンプライアンス違反」での倒産企業数は178件【企業倒産】

2016年度、業法・法令違反、脱税、粉飾決算、偽装などのコンプライアンス違反が原因で倒産した企業が178件あったことが東京商工リサーチの発表で分かった。前年度の191件よりも下回った。

コンプライアンス意識が浸透

倒産,コンプライアンス
(写真=garagestock/Shutterstock.com)

コンプライアンス(法令順守)は企業を経営する上で重要なものだ。2015年には東芝の不正会計、2017年4月には財務内容を隠蔽し、破産直前まで営業を続けたことで多くの旅行者を混乱に巻き込んだてるみくらぶなど、コンプライアンス違反を犯した企業に対しては厳しい目が向けられている。

ひとたびコンプライアンス違反が表に出れば、消費者や取引先の信用を失い、企業価値が失墜する。2016年度のコンプライアンス違反での倒産企業数は178件。2015年度の191件よりも少なく、2年連続で前年度を下回る結果となった。

コンプライアンス意識が高まるとともに、緩やかな景気回復、そして金融機関が中小企業のリスケ要請に対応する政策の効果あって企業倒産が抑制されたこともあり、コンプライアンスに違反した企業の経営破たんが少なくなってきた東京商工リサーチはみている。

業法・法令違反と税金関連が増加傾向に

コンプライアンス違反で倒産した178社の違反内容をみていこう。内容として最多だったのは、建設業法、医師法などの業法違反、金融商品取引法や特定商取引法などの法令違反、行政処分、代表者の逮捕などを含む「その他」だ。件数は79件で、前年度の70件と比べると12.8%増加している。

次に多かったのが脱税や滞納などの「税金関連」だ。こちらは64件で、前年度の51件に比べて25.4%増加した。

増加傾向にあるのはこの2要件のみで、合計で143件、全体の80.3%を占める結果となった。

国税庁が発表した「2015年度租税滞納状況」によれば、2015年の新規発生滞納額は前年度よりも16.1%、2016年は8.0 %増加している。特に消費税の割合が高くなっており、預かり消費税が運転資金へ流用されている問題も指摘されている。税金の滞納や脱税は業績不振が原因であることも多いため、税金に関するコンプライアンス違反の動向には注意が必要であると東京商工リサーチは指摘している。

介護福祉業界の倒産が急増

産業別でみていくと、サービス業が63件で全体の35.3%を占めて最多となった。次いで、建設業26件、製造業25件、卸売業20軒、小売業18件、運輸業12件、情報通信業7件、不動産業6件、金融・保険業1件だった。

サービス業を詳しく見ていくと、医療・老人福祉関連が12件で最多となった。2016年度の老人福祉・介護事業の倒産は、2000年の調査開始以来最多の108件となっている。倒産事例としてはサービス付き高齢者向け住宅を経営していた株式会社エヌ・ビー・ラボが介護報酬を不正に請求したとして介護保険事業者等の指定取引処分を受けたことにより破産申請につながった件などがある。

2015年度に行われた介護報酬改定により、介護報酬単価が引き下げられた。それにより、2015年度は制度施行以来過去最高となる76件 の老人福祉・介護事業が倒産した。2016年度はそれより多い108件の倒産となり、依然として老人福祉・介護事業事業所が苦しい状態が続いている。

事業所の倒産が急増する中、コンプライアンス違反も増加している。老人福祉・介護事業が行うコンプライアンス違反に不正請求が多いのも、悪化する経営状態が一因となっていることは間違いない。今後も注視する必要がある。

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