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市場価格より割安に新株が購入できる「ライツ・オファリング」とは何か?

企業の資金調達の方法の一つに発行株式の増資があるが、数年前に多くの企業が行った手法に「ライツ・オファリング」がある。東証上場の企業で2013、14年ごろ多く行われた手法で、昨年は実施企業がなかったが、今年になって1件、利用する企業が現れた。この手法の特徴や注意点はどんなものだろうか。

ライツ・オファリングは増資の一手法

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(写真=Bplanet/Shutterstock.com)

ライツ・オファリングとは増資の一手法であり、日本語では「新株予約権無償割当て」と呼ぶ。これは既存の株主が保有している自社株式数に応じて、「自社の会社株式を一般的に市場価格よりも割安価格で購入できる新株予約権」を無償で割当てる手法である。

簡単に言うと既存の株主すべてに「株式発行で資金集めをします。株を買うという形でお金を出してもらえれば、市場価格よりも安く株式を割り当てしますよ」と告知し、またその「株を割安で引き受ける権利」を市場で売買もできる、という形で増資を行うという事だ。

既存株主にとっては「割安で株を購入する機会」もしくは「購入権利を他人への売却による利益」を得ることができる。また法人としても、「公募増資」や「第三者割当増資」とは違い「既存株主に権利を割り当てる」という方式であるため、他の増資方法を行ったときにしばしおこる「既存株式の希薄化を嫌った株価暴落」が発生するリスクは低く、双方にとってメリットがある手法となっている。

タカラレーベンが最初?

2017年にこの手法で増資をした企業は株式会社エー・ディ・ワークス <3250> 1社だが、過去にはセーラー万年筆 <7992> や日医工 <4541> など多くの企業が実行している。

日本において本手法が導入されたのは2013年度のタカラレーベンで、この時初めて国内での実行が行われたという経緯がある。もともと東証が2009年12月、上場可能な新株予約権は1ライツ1株以上という上場ルールを撤廃。端数が生じる予約権の上場が認められ、企業が必要とするライツ付与ができるようにした経緯がある。

ライツ・オファリングを実行した企業の株価動向を追ってみると、影響が少ないとはいえ「増資」であることに変わりはないため、短期的には「希薄化」による株価の下落が発生している。
もっとも他の増資手法に比べれば下落幅はなだらかではあるし、「増資によって得た資金」を効率よく活用し、その後株価が盛り返している企業もみられる。

そのため市場では、“短期的に利益を抜きたいトレード趣向の株主”にとっては増資の下落と株価低迷が続くため「悪い商品」であるととらえられているが、“長期的に企業と付き合い、運用する投資家”にとっては業績改善のチャンスであるとおおむね好意的にとらえられているようだ。

企業と投資家それぞれの付き合い方

ライツ・オファリングを活用する上での注意点についてはどうだろうか。

まずライツ・オファリングを実行する企業は「影響が少ないとはいえ、株価下落によって既存の株主が不利益を被る」ということを留意した上で、得られた資金を効率よく「経営改善」に役立てるようにしなければならない。
幾度にも渡り投資家にとって不利益が発生する方法で資金調達を繰り返すような企業は、いずれ市場から淘汰されると考えるべきである。

次に「投資家」としては長期的視点で株式を保有する前提で、かつ「資金の使い道」には目を光らせなければならない。市場価格より安く株式が買えるという目先の利益だけに飛びつけば高い確率で損失が発生する。増資を引き受ける(=新規発行株式を買う)ということはそれなりのリスクが伴うという事を意識する必要がある。(土居亮規 AFP、バタフライファイナンシャルパートナーズ)

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