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手書きの機会は減少、経営者は「字がきれい」なほうがいいのか?

字がきれい、クセがある、雑で読みづらいなど、手書き文字にはその人なりの特徴がある。それぞれの個性だと言ってしまえばそれまでだが、世の中には悪筆コンプレックスを抱えている人も多いらしい。経営者という視点で見た場合、字がきれいなことは利点となるのだろうか。

手書きの機会は減っている

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(写真=alex74/Shutterstock.com)

手書きの文字には書く人のクセが出る。筆跡によって心理状態やパーソナリティを分析する手法や研究もあるくらいだから、手書き文字に関心のある人は古くからいたのだろう。

しかし、IT化が進んだ現代では、字を書く機会が少なくなっているのも事実だ。文化庁が2015年に実施した「国語に関する世論調査」によると、「日常生活において文字を手書きする機会があるか」の問いに、「ない」または「あまりない」と答えた人は27.3%だった。3割近くの人が、日常生活で手書きをする機会はないとしている。

経営者にとっても、手書きの機会は減っているだろう。パソコンやスマホの普及によって、ほとんどの書類のやりとりはデータで行えるようになった。日常的に手書きをする機会といえば、芳名帳に記帳するときくらいではないだろうか。年賀状や祝儀袋などの場合は、どうしても避けたければ秘書などに書いてもらうことができる。

そう考えれば、経営者にとって字がきれいかどうかというのは、大した問題ではない気がする。

4割以上が「字が美しいと好感度が上がる」

字がきれいなことに何か利点はあるのだろうか。「美しい文字に関する意識調査」によると、約45%の人が「字が美しいと好感度が上がる」と答えている。

調査は、公文書写教室を展開する公文エルアイエルが行った。30~50代の男女600人が対象で、2017年5月に実施。「美しい文字で得することはどのようなことだと思うか(複数回答)」の問いでは、「好感度が上がる」44.5%、「人前で文字を書くのに抵抗感がなくなる」42.8%、「仕事での印象がよくなる」41.3%との回答が上位を占めた。

「好感度が上がる」「仕事での印象がよくなる」という意見は、第三者から見た印象の変化を表している。字が美しいと、人に好印象を与えたり、品格を上げたりすることができると考える人は4割以上もいる。

一方、「人前で文字を書くのに抵抗感がなくなる」という回答は、自意識の変化を表している。他には、「芳名帳、祝儀袋等を書くのに抵抗感がなくなる(36.5%)」などが挙がったが、字がきれいになることで、堂々と字を書くことができるという意見が多いようだ。

経営者は「字がきれい」なほうがいい?

さて経営者にとって字の美しさは利点になるだろうか。そもそも「字がきれい」というのは、商才があることや事業に成功することの条件ではない。経営者の字がどうであろうと、経営にはさほど影響がないと思われる。

ただ前出の調査結果からも分かるように、字が美しいことには「好感度が上がる」「仕事での印象がよくなる」という得があるらしい。会社経営に欠かせないものの1つに「社会からの信用」がある。経営者の字が美しいことで社会から好印象を得られるのであれば、これは十分な利点と言えるのではないだろうか。

たとえば、悪筆で有名な政治家は何人かいるが、彼らの書いた色紙を見て驚いたり、がっかりしたりした覚えはないだろうか。どんな名言が書かれていても、悪筆では拍子抜けしてしまうようなところがある。逆に、美しい文字を書く人に対しては、根拠もなく一目置いてしまったりする。人に与える印象というのは、簡単な理由で変化してしまうものだ。

経営者とは、魅力的な人間でなければならないと思う。字がきれいであることは、魅力的な人間であるための、1つの道具になり得るのではないだろうか。(渡邊祐子、フリーライター)

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