Home » 経営効率化 » 鬼速で成長する企業のムダとり・時短とは?

鬼速で成長する企業のムダとり・時短とは?

PDCAを機能させるコツは「Dの棚卸し」にある!

冨田和成,鬼速PDCA,ムダとり,時短
(写真=The 21 online/冨田和成(ZUU代表取締役社長))

著書『鬼速PDCA』が8万部超えのヒットとなっている冨田氏。PDCAと聞くと「今さら?」と思われがちだが、多くの企業では鬼速どころか普通のPDCAすらきちんと回っていないと冨田氏は見る。その原因と改善策、さらにPDCAの意外な効果についてお話をうかがった。

8割の人が自分の仕事をやりっ放しにしている!?

野村證券で数々の営業記録や最年少記録を樹立し、若手の頃から圧倒的な成長スピードを実現してきた冨田和成氏。2013年に設立した㈱ZUUでは、目指すゴールの一つを「2038年に時価総額100兆円」と定め、ますます加速度的にビジネスを拡大させている。そんな冨田氏が、「個人も組織も十倍速で成長できるフレームワーク」として提唱するのが「鬼速PDCA」だ。従来のPDCAと何が異なるのだろうか。

「『PDCAならすでに実践している』という企業は多いでしょう。しかし現実には、PLANの段階で5割の人がPDCAサイクルから脱落し、DOで3割が脱落。CHECKへたどり着く前に、8割が脱落しているというのが私の印象です。つまり、せっかく何かトライしても、効果の検証がされていない。多くの企業で、仕事が“やりっぱなし”になっています。

私は、PDCAの“A”を『ACTION(改善)』ではなく『ADJUST(調整)』と定義しています。改善のみならず、期日の伸長や計画の継続・中止など、さまざまな調整が必要だからです。ただし、的確な調整は、前段階に的確な検証があってこそ。検証がなければ調整もできず、結局なんの結果も出せずに、“P”や“D”にかけた時間や労力がムダになってしまいます」

(画像=The 21 online)

なぜ、PDCAの要であるCHECKが実行されないのか。理由は、個人が抱える仕事を「重要度」と「緊急度」のマトリクスで整理すると理解しやすい。

「ほとんどの人は、『重要・緊急領域』の仕事に大半の時間を奪われています。常に目の前の仕事で手一杯で、PDCAを回すべきだとわかっていても、検証まで行き着けないのです。“C”を実行するためにはまず、前段階の“D”を棚卸しし、『DOの中に捨てられるものはないか?』を考える必要があります。

とくにマネジャーは、緊急度の高い領域に惑わされず、『重要・非緊急領域』にかける時間の確保に努めるべきです。ここには、部下の育成や仕事の仕組み作りなど、中長期的なタスクが該当します。そしてこの領域にこそ、チームが抱える課題を解決する突破口があるのです。緊急案件に追われる部下を上司が手伝えば、現場はラクです。でも、それは一時しのぎでしかありません。それよりも、『部下が緊急の仕事に追われない仕組み』を考え、この課題を早期解決すべく時間を使うほうが、結果的には部下を助け、チームの生産性も上がります。上に立つ者の役目は未来を作ることであり、部下がPDCAを回すための環境作りは大切な仕事です」

マネジャーの仕事の8割は部下に渡してOK

管理職になると、「これは自分がやらなくては」と仕事を抱え込みがちになる。だがチーム全体の生産性を考えれば、それは逆効果だと冨田氏は指摘する。

「私の経験でも、マネジャーの仕事の8割は部下に渡して大丈夫です。むしろ重要で難しい仕事ほど、部下に渡したほうがいい。そして自分は、チーム全体のPDCAがきちんと回っているかのモニタリングとそのサポートに徹します。重要な仕事ほど、やり遂げた際のインパクトも喜びも大きく、その機会をできるだけ多く与えることが部下のモチベーションを高め、成長につながります。結果的に、チーム全体で高い成果を出せるようになるのです」

ただし、モニタリングと言っても、部下の行動を逐一監視するわけではない。

「私自身、直属の部下については『PDCAがきちんと回っているか』の一点のみしかチェックしません。鬼速PDCAでは、一般的なKGI(Key Goal Indicator)やKPI(Key Performance Indicator)に加え、『どれだけ計画を実行できているか』を表わすKDI(Key Do Indicator)という独自の指標を設け、プロセスを可視化します。たとえば、『知識習得のために本を読む』というDOに対して『週2冊ペースで20冊読む』というKDIを設定するのです。こうすれば、進捗具合は一目瞭然。上司は部下が今、何をしているのか逐一気にせず済み、部下も上司に余計な口出しをされず、お互いラクになれます。

この関係を構築するには、チームでPDCAを回す仕組みを作るといいでしょう。当社では3日に一度『半週ミーティング』を開き、専用の進捗管理シートで全員の行動計画を共有しています。こうしたフレーム(枠組み)を日常に組み込んでしまえば、いちいち考えなくても無意識レベルでPDCAが回るようになります。『何も考えなくてもPDCAが回っている』、これが理想の状態です」

ムダと思われがちな雑談はPDCAの潤滑油

こうした説明を聞くと、「鬼速PDCAとは、ひたすら高速で仕事を回す機械的な仕組み」だと思うかもしれない。だが、冨田氏率いるZUUの雰囲気はそのイメージとは真逆で、社員同士のコミュニケーションが活発な職場だという。

「当社の職場は、“雑談ウェルカム”です。社名の『ZUU』には『動物園のように、多くの国から多種多様な人が集まる組織』という意味も込めていて、そのとおり人が集まっているのに、シーンと働いていたらもったいないですよね。ミーティングも大笑いしながらワイワイやっていたりして、企業理念の一つである『お祭り騒ぎ』のとおりの光景が見られます。気軽なコミュニケーションは、チームの信頼関係を築くのに不可欠。打ち解けていない人との意思疎通は難しく、そのぶんPDCAが回しにくくなります。

雑談もそうですが、一見ムダなことの中にも大切なものはあるし、その逆もあります。見極めるには、PDCAを回し続けるしかありません。明確な目標を立て、優先順位をつけ、やることを絞り込み、結果が出れば『ムダではなかった』とわかる。この積み重ねが実力と自信を育てます。PDCAは、プロジェクトや問題解決のときだけ回すのではなく、常に回し続けることで本領を発揮するのです」

冨田和成(とみた・かずまさ)㈱ZUU代表取締役社長
1982年、神奈川県生まれ。一橋大学卒業後、野村證券㈱入社。支店営業にて同年代トップセールスや会社史上最年少記録を樹立し、最年少で本社の超富裕層向けプライベートバンク部門に異動。シンガポール駐在やビジネススクール留学、タイでのASEAN地域経営戦略担当などを経て、2013年に㈱ZUUを創業。月間350万人を集める「ZUU online」や、投資判断ツール「ZUU Signals」などのサービスで注目を集める。著書に『鬼速PDCA』(クロスメディア・パブリッシング)など。(取材・構成:塚田有香 写真撮影:中條未来)(『The 21 online』2017年8月号より)

【関連記事】
「社用車にベンツがいい」は都市伝説 社用車導入の3つの注意点、税理士が解説
時間や場所にとらわれない働き方「テレワーク」は必要か? 海外では廃止する企業も
日本に広がる「不寛容オフィス」の実態とは?
「耳の痛いこと」を伝えて部下と職場を立て直す技術
アメリカ女性の活躍を支える企業の福利厚生としてのチャイルドケア・ビジネス