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「日本的経営」を磨く為に

最近では、日本人の特性(長所と短所)は様々な形で議論されている。それが、「日本的経営」に様々な形で反映されていることも事実である。

久野勝邦,日本的経営,改革
(写真=wowomnom/Shutterstock.com)

従来の日本人の感覚では、定常・安定した世界観の下で、現状への安住の中で生きるという点が特徴である。

しかし欧米人(特にアメリカ人)の感覚では、進化・発展する世界観の下で、将来への挑戦の中で生きるという点が大きな特徴である。

リスクのあるこの世界で常にチャレンジしながら生きることに生き甲斐を感じている訳であり、経営という観点からも両者を隔てる大きな差となっている。

また、日本人は感情を制御する「理性」という点では素晴らしいものがあり、仲間内同志で助け合いながら生きるという感覚に長けている。

しかしながら、欧米人の様な世界を理解する「知性」という点では十分に磨かれているとは言えず、今後の課題でもある。

「知性」を磨く為に考えなければいけない事としては、人間学(各種文化の理解)・経済学(金銭感覚の練磨)・自然学(科学技術の知見)を総合して理解する「人間の器量」の大きさが求められる。

そして未来を目指して「日本的経営」を発展させる為には、下記3点が重要であると考える。

(A)イノベーションを目指すチャレンジ精神を磨く
(B)リスク管理と共にインテリジェンス意識を磨く
(C)仲間内意識を越えて公益を追求する気概を磨く

この点は、太平洋戦争当時から最近の福島原発事故までに共通する課題であるが、未だ日本人が克服出来ていない大きな課題であり、最近の経済界の停滞の原因になっていると言っても過言ではない。

現在の経済界は、第4次産業革命の時代に入っていると言われており、AI・IoT・ビッグデータ等によって支えられているが、一方では外部からのサイバー攻撃のリスクも高まっており、大きな転換点に立っている。

そして内需の大半は、脱工業化の中で第三次産業によって支えられているのが現状である。今までの高度成長期とは異なった状況下になっていることを理解することが重要である。即ち「日本的経営」の課題も大きく変わりつつある。

欧米流の資本主義社会が続いている現状の下では、一つの極に米国流を置き、もう一つの極に日本流を置いて、両者を包括・融合する考え方も重要であろう。

そして、上記の(A)(B)(C)に示す様な、常に未来を考えながら取り組むという姿勢が、現在求められている「日本的経営」の課題である。

現在、日本の経済界では、労働の生産性は先進国の中で最低であり、人手不足や過労死の為の対策として、政府から「働き方改革実行計画」が公表されているが、「日本的経営」の転換点に立っていることを理解して、積極的な改革に取り組んで行きたいものである。

◆文:技術経営士の会/久野勝邦

(写真=BigLife21)
技術経営士の会・久野勝邦氏

●筆者プロフィール
久野勝邦(ひさの・かつくに)、1940年生まれ。
1962年/株式会社日立製作所入社。日立工場のタービン設計課にて、新型タービンの開発推進
1981年/同 火力設計部にて、各種タービンプラントの開発と輸出推進
1995年/同 日立工場にて、原子力・火力・水力発電事業の統括管理
1999年/同 副社長と日産から自動車部品会社を買収し、社長を兼務して立上げ
2005年/同 匿名顧問
2010年/関連会社5社の会長職を歴任し、退任後名誉顧問となる

●技術経営士の会
〈技術経営士の定義〉技術経営士は、高齢化が進む日本を、世界に先駆け“叡智(えいち)に満ち、落ち着きがあり文化度の高い成熟社会”に変えていくために、技術者としての専門知識及び組織経営の経験を社会に還元することに加え、技術の社会への実装を使命とする者に与えられる資格です。

●「技術経営士の会」とは
「技術経営士の会」は、技術同友会の支援のもとに、有志の技術経営士により、平成25年5月に発足された任意団体です。現在114名(平成29年7月現在)の個人会員、および1社の賛助会員で構成されています。経済産業省や中小企業投資育成会社、信用金庫等の協力を得て企業とのマッチングを行うなど、技術経営士の知見を積極的に社会に還元するために、技術経営士の活動を支援しています。

2017年10月号の記事より(提供:Biglife 21)

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